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11月12日開催 講演会・Q&Aレポート

講演会「良くなるための標準治療」レポート(平成29年11月12日開催)

 すっきりと晴れ上がり、秋の訪れを感じさせる陽気となった11月12日、東京・神田のフォーラムミカサエコにおいて講演会が開催されました。

講演1「標準治療によるアトピー性皮膚炎の長期マネージメント」

 東京慈恵会医科大学 皮膚科教室主任教授 中川 秀己先生

 当会顧問江藤先生の師にあたる中川秀己先生は、プロトピック軟膏の顔への適用などの開発に携われ、長年アトピー性皮膚炎の一線でご活躍されている先生です。

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  アトピーの炎症がひどい場合には、ステロイドを皮疹に、落ち着いてきた場合には、プロトピックを皮疹を中心に塗ります。抗ヒスタミン薬は、小児患者によっては、眠気や集中力の低下があり、勉強やスポーツ能力が低下します。親はこの点を理解して子供に優しく接するべきです。

 最後に、アトピーの問題点は、日常生活の患者のQOL低下(小児患者は精神発育が阻害され)、家族のQOL低下に繋がることです。医師看護師だけでなく、患者その他

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スタッフがチームとしてQOL向上を目指すべきであり、患者も受け身ではなく、積極的に参加するべきです(トー

タルマネジメント)。

 

 

 

 

講演2「気管支喘息とリモデリング−最近の話題−」

 独立行政法人国立病院機構東京病院 副院長 庄司 俊輔先生

 当会顧問坂本先生の研究室の同窓である庄司俊輔先生は、長年東京大学で研究及び治療をされ、その後国立病院機構でご活躍されている先生です。

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 リモデリングとは、喘息の症状や発作が繰り返し起こった後に、細胞や組織が変化して気管支が細くなる現象のことで、その結果、喘息は重症化して難治化します。喘息以外で「せき」がでる病気にかかっている人もリモデリングがおきていることが分かってきました。

 

 吸入20171112きく人2 035.JPGステロイド薬(ICS)の登場と共に、喘息による死者数は大きく減少しており、今の治療の中心はICSです。今後はICSに加えて、長時間作用性β2刺激薬(LABA)によるリモデリングの抑制効果が期待されています。 

 

講演3「ベテラン患者からのメッセージ」

 喘息部門 当会療養相談員  桜井修子

 アトピー部門 当会療養相談員 荻野美和子

 当会療養相談員の失敗したことや良くなった経験が発表されました。

 

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 桜井からは、喘息が悪くなったきっかけとして、

①風邪の対処が遅れた、②風邪の時に合わない抗生剤を使用、③アスピリンの服用、④空の気管支拡張剤を吸入の4つが、良くなったきっかけとして、①吸入ステロイドの進化でQOLが向上、②吸入ステロイドは自分にあったものを正しく吸入、③専門医への受診の3つががあげられました。

 

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 荻野からは、アトピーの失敗談と、失敗を乗り越え「結婚」「子育て」「ディズニー」という3つの夢を実現した経験の説明がありました。大学4年時に「毒薬」ステロイドを卒業すべく、5年半脱ステロイドし漢方治療を受けました。これにより症状はさらに悪化し、疲れ果て病院に入院することに。8日間の入院生活を経て、化粧をできるようになり、ついに、「結婚」「子育て」「ディズニー」という3つの夢を手に入れることができました。さらに、大学4年時にあきらめた「エアロビインストラクター」にもなることができました。「毒薬」と思っていたステロイドが、実は荻野の3つの夢を実現させてくれたのです。

 

 

 

「講師を囲んでQ&A」 アトピー性皮膚炎グループ

アトピー性皮膚炎部門の「講師を囲んでQ&A」は同じ会場で先生を囲む形式で行われます。今回は来場者数がいつも以上に多く、講演に続きO&Aも多くの方に関心を持ってご参加いただくことができ、スタッフとしてとても嬉しく思いました。

 本日ご講演いただいた中川秀己先生、当会常任顧問の江藤隆史先生、当会の丸山さんの仲の良さがわかるご挨拶からQ&Aが和やかに始まりました。

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 質問内容は多岐に渡ります。個人的な症状のご相談から、長年ステロイド外用剤を塗布することの不安、アレルギー検査は必要なのかどうか。そして、アトピー治療中の思春期の子供の勉強や部活、ニキビ治療との兼ね合い、心のケア、等々。

 今回も江藤先生の司会で、一つ一つの質問に楽しくテンポよく、そして質問した方が自分で考えて納得できるような回答やアドバイスをしてくださいました。O&Aですが回答は一つではありません。ここがこの会のQ&Aの良いところだと思います。先生の回答だけでなく、患者として丸山さんがご自身の体験を踏まえたコメントを付け加えることで、今後のご自身やご家族の治療方針、生活様式、スキンケアやお化粧の方法まで見直すきっかけづくりができた方もいらっしゃったと思います。

 新しい治療法についての質問には申請の時期や、その治療がどのくらい費用がかかるか、そしてその効果について専門医の立場から丁寧にご説明いただきました。その一方面白かったのがペットを飼うことについてのご質問。中川先生は以前猫アレルギーの患者さんが4匹いた猫を飼うのをやめたら一気に改善したことがあったそうで「ペットは金魚にしなさい(笑)」と言えば、江藤先生は「そこまでしなくても大丈夫(笑)」と回答されていました。

 外用剤の説明や、様々なアドバイスにメモを取る方がたくさんいらっしゃったのですが、先生のお人柄がわかるクスッと笑えるコメントや両先生と丸山さんとの明るいやりとりに今回の講演のキーワードでもあった「医師と患者、周りのスタッフとの協働」というのが感じられるひとときでした。患者だからと受け身で待つのではなく、積極的に明るく治療に取り組むことが改善への一番の近道です。

 本日の質疑応答は順次「あおぞら」に掲載されます。どうぞ楽しみにお待ちください。

「講師を囲んでQ&A」喘息グループ

講師の庄司俊輔先生・当会顧問の坂本芳雄先生を囲んで、活発な質疑応答が交わされました。

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集まったのは、年齢も性別も様々な約30名の方々です。はじめに坂本先生から「今回は質問が多いため、全てに答えきれないかもしれない」というアナウンスがありました。実際のところ、Q&Aを重ねるたびに、参加人数が増えています。「悩みを抱えたまま、どこにも相談ができない」患者さんが増えているのでしょうか。

皆さんの疑問・不安に答える中で、両先生が特に強調していたのは「基本的な治療をしっかり続けること」「勝手な判断で薬をやめないこと」の2つだったと思います。

 また、今回も「喘息は治るのか?」という質問が出ました。これは患者の立場からすれば当然のことかもしれません。「病気やケガは治るもの」と考える方が多いからです。(以前の私もそうでした。)

「喘息は慢性の病気」ということを知る機会が様々な時間・場所・メディアで提供されれば、この状況が改善していくのかもしれません。

 先生方は、参加者の質問・不安に対して、ひとつひとつ丁寧に答えていきます。質問票に書かれている情報で答えにくい場合(大部分がそうなのですが)は、患者さんに直接お話しを伺います。

時に、自分がかかっている医師には「普段感じている疑問や不安」を言えないものです。はじめて会う先生、見知らぬ場所だからこそ質問できること、話せることがあります。

 今、このレポートを読んでいる方の中には、Q&Aに一度も参加したことがない、という方もいらっしゃると思います。Q&Aでは、現在診療を受けている医師とは別の医師に第2の意見を求めることができます。質問してみて、話してみる。他の参加者の話を聞いてみる。それだけで選択の幅が広がります。気が楽になることがあります。

 私自身、参加者の皆さんと先生方のやり取りを聞いて目を開かされることが何回もありました。

 次回のQ&Aで、皆さんと先生方のお話を聞けることを楽しみにしています。

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