「第90回アトピー性皮膚炎・小児食物アレルギー・喘息講演会とQ&A ニューノーマルにおける『新たな治療の選択肢』」と題し、2021年6月6日(日)にZoom開催されました。
参加人数は約170名にのぼり、日本全国、海外からもご参加いただきました。
下記の順でレポートしていきます!
・アトピー性皮膚炎
・小児食物アレルギー
・気管支喘息
・新型コロナワクチンについて
・Q&A
<1部 〜講演会〜>
「アトピー性皮膚炎の治療~外用治療の基本と新薬の話題」
東京逓信病院皮膚科部長 三井浩先生
・アトピー性皮膚炎の治療には様々なものがあるので自分のライフスタイルに合ったものを選ぶ。
・早くしっかり治して寛解維持療法に持っていくことが大事。
・寛解導入にはステロイド外用薬を、維持療法にはタクロリムス外用薬を使うのがおすすめ。
「小児食物アレルギーの予防と治療の最前線」
国立成育医療研究センター・アレルギーセンター長 大矢幸弘先生
・小児の食物アレルギーは、アレルゲン特異的なIgE抗体が関与するものが主。
・IgE抗体が陽性でもアレルギー反応を起こさないことがあるので、経口負荷試験で確定診断する。
・治療の原則は、除去(食べないこと)だが、安全な量までなら食べたほうが早く治る。(部分解除、少量経口免疫療法)
・アナフィラキシーに備えて、エピペンを所持する。
・経皮感作を防ぐために、皮膚炎は徹底して治療する。
・離乳食の開始を遅らせず、経口免疫寛容を誘導する。
「気管支喘息治療の最前線: 新しい配合剤や抗体製剤を中心に」
帝京大学ちば総合医療センター第三内科(呼吸器)教授 山口正雄先生
・吸入ステロイド剤が有効。気管支への到達を有効にするのは「ホー吸入」。
・早期、個別の治療戦略が大事。
<特別報告 〜新型コロナワクチンについて〜>
(山口先生)
・ほとんどの方には摂取を勧めたい。
・注意が必要なのは過去にワクチンでアナフィキラシーを起こしている人、日常生活で原因不明の症状が頻発している人。
<2部 〜Q&A〜>
Q&Aでは常任顧問の坂本先生、江藤先生の進行のもと、事前質問から当日の質問まで講師の先生が的確な回答をしてくださいました。その一部をご紹介します。
Q. デュピクセントは一度使用を止めると抗体ができて効果がなくなる?続けたいが、高価。今後安くなるか?
A. (三井先生)効きにくくなる可能性があるが、やめることおすすめできない。値段に関してはわからない。
(江藤先生)一度辞めても再開した時の効果は変わりないというデータがある。
Q. ステロイドを使わない治療法を知りたい。
A. (三井先生、江藤先生)まずはステロイドを使わない、という発想、誤解を解いて欲しい。ステロイドほど短期間で炎症を抑えられる、効果が出る治療法はない。落ち着いたら次の治療法を考える。まずはしっかり塗るのが基本。
Q 乳の経口免疫療法がなかなか進まない場合、どのように指導されているのか。
A 微量から始めて全く症状が出ないような安全な量で実施する。いやがる子供にむりやり与えると心理的なアレルギーが起きることがあるので無理はしない。
Q 新型コロナワクチンの接種日に喘息の発作があったら接種しない方がよいのか。
A (山口先生)接種日の数日前から治療を強化して症状を安定させておくと安心して接種することができる。
ご質問をいただいた皆様ありがとうございました!
次回は10月31日に開催予定です。詳細が決定しましたら再度お知らせいたします。
アレルギーは完治することはありません。寛解を目指して正しい情報やエビデンスに触れることが大切です。一人で悩まず、私たちと一緒に良くなっていきましょう。
皆様のご参加お待ちしています!
(レポート:田口初希)