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新型コロナワクチンについて
ー2021年6月6日 日本アレルギー友の会講演会よりー

本内容は、2021年6月6日に実施した講演会にて

帝京大学ちば総合医療センター第三内科(呼吸器)教授 

山口 正雄先生

より講演いただいた内容です。

 

 

ワクチンの種類

ワクチンの種類についてですが、現在、薬事承認されているものは次の3種類です。

1つ目はコミナティという名称のファイザー社のワクチンで、2021年2月14日に薬事承認されました。2回接種、接種間隔は3週間です。

2つ目は武田薬品が輸入供給している武田/モデルナ社製のワクチンです。2021年5月21日に薬事承認されました。2回接種、接種間隔は4週間です。

3つ目はアストラゼネカ社のワクチンです。こちらも2021年5月21日に薬事承認されました。2回接種、接種間隔は4~12週間です。

それぞれ、接種間隔が違うことと、保存温度も違うので、製材の保管、実際の使用のときの配慮が異なります。あともう1つ、ジョンソンエンドジョンソン社のワクチンが承認申請中であり、こちらは1回接種でよいということです。

いずれも筋肉注射のお薬として出されています。

ワクチンの副作用

ワクチン接種後に生じるさまざまな事象について、全国から非常に早いスピードで副作用疑いの報告が上がって、直ちに厚労省の会議で検討され、すぐにデータが会議録あるいは会議資料として公表されています。

2021年3月末時点の報告では、接種回数57万8835回、このうち、副反応の疑いが733件、重篤149件、死亡1件、この死亡事例はクモ膜下出血で、ワクチンとの関係はないということになっています。

それから、アナフィラキシーの報告が181件上がっています。アナフィラキシーには症状の程度を5段階に分類しているブライトン分類というものがあり、レベル1というのは皮膚や循環器・呼吸器に強めの症状が出ているということです。レベル2、3になると、徐々に緩やかな症状の組合せになります。レベル1、2、3が実際にアナフィラキシーであるという判定になって、議題に上げられることになります。レベル4は、十分な情報が得られておらず、アナフィラキシーの定義に合致すると判断できず、レベル5では、アナフィラキシーではないという判断になります。4と5は疑い報告例の過半数を占めるというのが実情です。

2021年5月16日までの報告数では、先ほどとは桁が変わり、接種回数611万2406件で、十数倍になっています。そして、副反応疑いが7297件、そのうち重篤で医療機関がワクチンと関連ありと報告したものが605件です。死亡の報告は51件で、報告者の判断で死亡とワクチンが関連ありとしているものが2件ですが、この2件も含めて51件というのは、厚労省の会議の中での検討結果としては、確実に関連すると認められた死亡事例はないと判断されています。

アナフィラキシーに関して製造販売業者から報告された943件では、ブライトン分類のレベル1~3は146件、内訳は女性が多く、100万回あたり24件起きているということです。最初、もっと高い頻度と言われていましたが、接種が増えていくと、さらに低い数字に落ちついてくると考えられます。

ワクチンに対する政府の見解

厚労省のホームページで、いろんな質問に対してのQ&Aが載っています。

今回、mRNAというワクチンを我々は初めて打つことになったわけです。mRNAワクチンとは「設計図」を入れるワクチンです。プラモデルのように設計図をみて、体の中でウィルスという犯人の断片を組み立てて犯人の顔を覚えさせます。この設計図はヒトの遺伝子、すなわち細胞の核の中のDNAに組み込まれることはありません。皆さんがワクチン接種をすることに不安を持たないように、正しく理解してもらえるように、わかりやすい絵が描かれています。

ファイザー社のワクチンと武田/モデルナ社のワクチンの安全性の違いもQ&Aに書かれています。文章を見てみると、いずれのワクチンも接種部位の痛み、疲労、頭痛、筋肉痛、悪寒、関節痛などが報告されています。臨床試験の結果では、武田/モデルナ社のワクチンのほうが、副反応の発生頻度が5~20ポイント程度高く報告されているほか、接種から1週間くらいたった後に、接種した場所の痛みや腫れなどが見られることが報告されています。ただ、こうした症状の大部分は、接種後数日以内に回復しています。

さらに、いずれのワクチンも高い有効性があることを踏まえると、こうした軽い副反応の頻度の違いを強調するのではなくて、ぜひワクチン接種してください、ということをお知らせしている文章です。そして、私自身も同じ見解です。

ワクチンに含まれる添加物について

アレルギーを起こし得る成分ということで、多くの方が気にされている、ポリエチレングリコール(PEG)とかポリソルベートに関しても、厚労省ホームページのQ&Aに書かれています。ファイザー社のワクチン、それから武田/モデルナ社のワクチンも、添加物が入っています。ファイザー社のワクチンには、ポリエチレングリコール、ポリソルベートが入っています。武田/モデルナ社のワクチンにはポリエチレングリコールが入っています。これらの添加物は実際に我々が日常的に接することも多いですし、いろんな製品にも入っています。歯磨き粉や化粧液など、我々の周囲の物品、さまざまな医薬品に入っていて、皆さんが毎日触れているといえます。

ポリエチレングリコールのアレルギーは、多くはないけれども、あり得ます。ポリソルベートとの交差反応性があり得るということになっています。物質として両者は似ています。そして、ポリソルベートを含んでいるワクチンは珍しくありません。例えば、インフルエンザワクチンなど幾つかの種類のワクチンは、ポリソルベートを含みます。

添加物に対するアレルギーに関して、医療機関で簡単に検査できるのかというと、実はそう簡単ではありません。ポリソルベートよりもポリエチレングリコールのほうが検査しやすいといえます。大腸内視鏡検査時に下剤として、これそのものが薬になっていますので、皮膚テストをやりやすいのではないかと思います。一般の人はワクチン自体をすぐ使えばいいと考えるかもしれませんが、病院では、こういうことはチェックが厳しくなっています。大切なワクチンを本来の使途ではない皮膚テストに使う、少量でも人体ママに投与するときには、事前に倫理審査を経ないといけません。倫理審査には何週間とか、何カ月もかかる病院も多かろうと思います。ワクチンの検査は簡単ではないということです。

添加物の情報も含め、いろんな薬剤の情報は、厚労省の関連機関であるPMDA(医薬品医療機器総合機構)のホームページから簡単に誰でも入手できます。ワクチンの添付文書を誰でも入手できます。

今回のワクチンには添加物としてゼラチンは入っていません。

一度PMDAのホームページで調べていただくとよいと思います

これらの成分の皮膚検査をワクチン接種の前に必ず行うのは、やり過ぎと思います。全員に行うこと自体実現不可能ですし、偽陽性・偽陰性がありえますので、接種を行って問題が生じた方に限定して、成分のアレルギー検査を行うのが妥当と思います。

 

ワクチンのアレルギー反応について

ダニやスギ花粉のような自然界のアレルゲンが血液検査や皮膚検査ではっきり確認されている、そういうものだけが自分にとってのアレルゲンだとわかっている方は、アレルギー的に心配する必要はないと思います。もちろん絶対安全と保証することはできませんし、誰にとっても打ってみないとどうなるかわからないものです。しかし、花粉症を持っている方などは、特に心配する必要はないと思います。

注意が特に必要なのは、過去にワクチンでアナフィラキシーを起こした人や、日常生活において原因不明のアレルギー症状が頻発する人だと考えます。

私としては、アレルギー疾患を持っている患者さんであっても、できるだけ接種を勧めたいと考えています。しかし、以前にワクチンの副作用で大変に苦しんだとか、普段からアレルギーで苦しみながら生活している方は、無理に接種を勧めなくてもよいのではないかと思います。

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