アレルギーを超えて。あなたらしい生き方を。 認定NPO法人 日本アレルギー友の会 アレルギーを超えて。あなたらしい生き方を。 認定NPO法人 日本アレルギー友の会

お問い合わせ
facebook        twitter
menu

アトピー性皮膚炎体験談

息子のアトピー体験記  

〜迷いと葛藤の末にたどり着いた「安心できる治療」〜

 

埼玉県 小平栄子 50代

◆アトピー性皮膚炎発症

 元気に生まれて数日後、「なんとなく皮膚が赤いな…」そんな小さな違和感から、私たち親子の長いアトピーとの闘いが始まりました。最初は「乳児湿疹かな?」と軽く考えていましたが、赤みは顔から首へと広がり、カサカサとした湿疹に。機嫌も悪く、夜はかゆみで何度も泣いて目を覚ますようになりました。ミトンをはめても、顔は掻き傷だらけ。ミトンは血で滲み、そのたびに胸が締めつけられる思いでした。

 皮膚科では「アトピー性皮膚炎」と診断され、ステロイド軟膏の使用を勧められました。しかし、当時の私は「ステロイドは毒」「皮膚がボロボロになる」といったステロイドバッシングの情報にとらわれ、ステロイドを使うことに強い不安を抱いていました。「赤ちゃんに使って大丈夫なの?」「副作用が出たらどうしよう」そんな不安が頭をよぎり、素直にテロイド薬を使う気持ちにはなれませんでした。         

 それでも、夜も眠れずにかゆがる息子の姿を見るたびに、心が張り裂けそうでした。「妊娠中の生活が悪かったのかも」「何か食べたものがいけなかったのでは」 そんなふうに、自分を責め続ける日々が続きました。私自身も寝不足が続き、体も心もふらふらに。「もう嫌だ…」と、ネガティブな気持ちに押しつぶされそうになることもありました。

 外出先では、見ず知らずの人に「かわいそうに。お母さん、何とかしてあげないと」と心ない言葉をかけられ、胸が締め付けられました。息子をギュッと抱きしめ「ごめんね、ごめんね」と繰り返しながら、涙を堪えていたのを今でも思い出します。

 

◆代替療法への期待と現実

「漢方がいいらしいよ」と友人に勧められ、漢方クリニックを受診。まだ母乳しか飲めない息子に漢方をどう与えるのか尋ねると、医師から「お母さんが飲んで、母乳を通して赤ちゃんに届けましょう」との説明がありました。その日から、漢方を煎じ、私が飲みながら母乳を与え続けました。卒乳後は、息子自身が苦い漢方をコップ一杯、毎日欠かさず飲み続ける日々が始まりました。思い返すと、あの幼い体で、よく頑張ってくれたと思います。

 また、「硫黄が効く」と聞けば各地の温泉へ「塩水がいい」と聞けば海へ 。私は息子を連れてあちこちを巡りました。海水がしみて目に涙を浮かべる息子に「我慢してね」と、心とは裏腹な厳しい言葉をかけながら、自分に言い聞かせるように「これはアトピーを治すため」と繰り返していました。笑顔で過ごすはずの温泉や海水浴も、私たち家族にとっては、ただの“治療”の一環でしかなかったのです。

  ある日、母が「スーパーミクロ療法」という本を持ってきました。ちょうどその頃は、息子のかゆみがひどくなる一方で、私たち親子は心身ともに疲弊し、出口の見えないトンネルの中にいるような日々を過ごしていました。まさに藁にもすがる思いでクリニックに足を運びました。そこで処方されたのは「スーパーミクロ軟膏」という微粒子でできているという軟膏。成分の説明はなく、使い方も曖昧なまま塗り始めたところ、まるで嘘のように湿疹が引き、夜もぐっすり眠れるようになりました。嬉しさと安堵のなかで、ふとよぎったのは「どうしてこの薬でこんなに良くなったのだろう?」という疑問。

 そして今になって思うのです。もしかしたら、その軟膏にはステロイドが含まれていたのかもしれない。そうであれば、きちんと医師の説明を受け、納得した上で使うべきだったと。あのときは、治療の本質よりも「今すぐ治したい」という気持ちが先立ち、大切な判断を見落としていたのだと思います。

 

1歳の頃の息子 額と顎の症状がひどかった時

 

◆再燃と標準治療への転換

 成長とともにアトピーは少しずつ落ち着き、小学生以降は比較的安定した日々を過ごすことができました。ところが、進学を機に一人暮らしを始めた途端、アトピーが再燃。かゆみや皮膚の炎症に、本人も大きなショックを受けていました。私も「また、あの長く苦しい日々が始まってしまうのか」と、不安でいっぱいになりました。

 そして、私は再び、インターネットで情報を探し回り「このサプリが効いた」という体験談を見つけて、息子に試してもらうように提案しました。半年間、彼は毎日、片手に収まりきらないほどのサプリメントを黙って飲み続けました。しかし、期待した効果は現れず、ついには息子に「もう、やめよう」と言われてしまいました。

 彼自身も、自分なりにいろいろと調べてはいたようです。ただ、幼い頃からステロイドの使用を私がためらってきたことで、彼にも「ステロイドは使うべきではない」という固定観念が、根付いてしまっていたのかもしれません。

 そんなとき、日本アレルギー友の会のホームページに出会いました。多くの体験談と標準治療に関する正確な情報に触れ、個別相談にメールを送ったところ、温かい返信とともに友の会で常任顧問をされている江藤隆史先生を紹介してくださいました。

  すぐに予約を取り受診。江藤先生は、息子の全身を丁寧に診察し「大丈夫、きちんと薬を塗れば、必ず良くなるからね」と息子の肩をポン!とたたき、笑顔で言ってくださいました。その一言に、私は「良かった。これでもう大丈夫だ」と涙がこぼれそうになりました。塗り方の指導を受け、毎日欠かさず軟膏を塗るようにしました。最初は不安もありましたが、状態を見ながら塗布量や回数を調整し、治療方針に納得して取り組むことができました。

 すると、息子の肌は目に見えて改善し、夜もぐっすり眠れるようになり、笑顔も戻りました。クリニックには、同じようにアトピーに悩む患者さんが多く、その姿に息子は「皆んな頑張っているんだね」と、仲間がいることに勇気づけられたようでした。そして、成人した現在ではスキンケアのみで良好な肌の状態を保てています。

 

◆家族の試練と気づき

 アトピーがひどかった当時、私たち家族の生活の質(QOL)は著しく低下していました。かゆみで眠れない、外出もままならない、集中できない…もちろん一番辛いのは本人ですが、見守る家族にとっても辛く大変な日々でした。当時は「少しでも良くなってほしい」という一心で、さまざまな治療法を試みました。しかし、その「治したい」という強い気持ちが、かえって息子に大きなプレッシャーを与えていたのではないかと感じています。ここまでくるまでに、本当に長い時間がかかりました。けれど、そのすべてが今の穏やかな日々へとつながっているのだと思うと、あの苦しみさえも意味のあるものだったと、少しずつ思えるようになってきました。

 

◆今、悩んでいるご両親へ 

 私は多くの遠回りをしましたが、最終的にたどり着いたのは「標準治療」でした。そして、その治療を支えてくれたのは、信頼できる医師と、友の会で得た正しい知識でした。 炎症が強いときには、ためらわずに「必要な薬を使うこと」そして「信頼できる医師と一緒に治療に取り組むこと」が、何より大切だと身をもって学びました。 

 今、ネットやSNSでは様々な情報があふれ、戸惑い、何を信じて良いのかわからなくなることも多いと思います。だからこそ、今まさにアトピーで悩んでいるお母さん、お父さんへ心から伝えたいのです。 

「大丈夫、標準治療で必ずよくなります。どうか自分を責めないで」と。 

 この体験が、誰かの力になりますように。 

 

サイト内検索

お問い合わせこちらから

SNS