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27.2.28~3.1開催 実践ぜんそく講座・アトピー講座レポート

<ぜんそく部門>

寒さの残る2月最後の28日(土)、ぜんそく部門の実践講座は、地下鉄の住吉駅近くにある日本アレルギー友の会の事務所で行われました。参加者は20名弱、テーマは「吸入薬を含む外用薬の特徴と使い方や選び方を知って、ぜんそくをきちんと治療しよう!」です。

まず武川副理事長より、この実践講座の趣旨説明があり、続いて参加者の自己紹介と参加目的を話しました。ぜんそくのコントロールの方法、新しい薬の知識を得たい、自己流になっている吸入方法の再確認、小児ぜんそくの知識とお子さんへの対処法などと、参加目的は色々です。

第一部講演会では、ミネ薬局清瀬店で、管理薬剤師をされている中島謙司先生をお招きし、「吸入薬の特徴と使い方、選び方」について、スライドを用いてお話を聞き、吸入薬の違い、陥ち入り易い間違った使い方について参加者全員で確認しました。その内容を少しお話しししますと

1 ミネ薬局での吸入薬(長期管理薬)の処方は、シムビコートとアドエアが最も多くパルミコート、フルタイドがこれに続いています。     

2 吸入指導の調査によると、吸入ステロイドを正しいく服用されている方の割合は意外に低く、遵守出来ていない方が半数に近く、その理由は、発作が始まったら使用すれば良い、と思ってている方が多くいて、ぜんそくが慢性的な気道の炎症である事が十分理解されていません。

3 吸入器具の使用方法が判り難く、吸入指導も不十分で、自己流になっている。

4 最も使用量の多いシムビコートの誤った使用法は

a 一度に複数回まわしている

b 容器を傾けて回している

など薬が所定量服用されていません。“100%効く薬を50%しか吸えないよりも、70%効く薬を100%吸えた方がぜんそくのコントロールが良好”というお話しは印象的でした。

清瀬では、このような状況を打破するため、「きよせ吸入療法研究会」を立ち上げ、病院医と連携して、患者さんの吸入状況について評価表を用いた情報交換を行っており、より良い吸入療法の実現を目指しているそうです。

「吸入レッスン」動画で、色々な吸入器具の説明がされていて、iPhone、iPadで閲覧が可と紹介され、気軽に有益な情報を利用できる時代になったと実感しました。

ここで休憩となり、お母さん方は先生にスペーサーの使用方法、洗浄方法、耐久性などを直接伺う機会が持て、有益な時間でした。

喘息講座.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二部の患者交流会は、名誉理事長の上野さんの司会で、参加者の聞きたいこと、話したいことを引き出し、先生を中心に全員参加で行いました。

主なお話は

1 体調が良いので、薬を止めたいが可能か?

2 レルベア”という一日一回の吸入ですむ新薬が出たので、吸入の負担が減る、この薬に替えたいと思うがどうか?

3 シムビコートの吸入方法で、「クルっと回し、カチと戻して吸入」、の意味が良く判らない。

4 災害時を想定した薬の予備量は?などでした。

先生から、「ぜんそくは気道の炎症であり、発作のない時でも炎症は残っている。呼吸機能のテスト、血液検査などを行い、主治医と良く相談して決めること、というアドバイスがありました。

参加者からは、小児ぜんそくでしたが、20歳台は元気に過せたが、30歳台過ぎで再発、ひどい発作を繰り返した。ぜんそくの治療を正しく継続していれば、再発しなかったかもしれない、という経験談があり、吸入ステロイドの中止は慎重に、と言うことを確認しました。

“レルベア”については、主治医に新しい薬が出たので試してみたい、と意見を伺ったらどうか?しかし薬を替えたことで体調の変化が有ることもある。今服用している薬で十分コントロールが出来ていれば、替える必要も無いのでは、と言う意見も出ました。

シムビコートの吸入方法は、クルっと回すと、薬が重力で受け口に落ち、カチと戻すと吸入出来る状態になります。マニュアルは判り難く吸入後に、又クルと戻してしまう人が居るので注意が必要です。

予備の薬の量は震災以前、一週間程度と言う話でしたが、今は震災の経験から1ヵ月くらいという話があります。これは連休やお正月も同じで、日頃からで予備の薬やお薬手帳を準備する必要が有ります。大災害の時は、大病院に患者さんが集中する傾向が有ります。地域の救護所で良く情報を把握して行動し、また行政からの情報にも注意して欲しい、などのアドバイスがありました。

予定の時間はアッと言う間に過ぎ、武川副理長の、地域医療の現状を知って自分の身は自分で守る、と言う話しで散会となりました

【アトピー性皮膚炎部門】

  3月1日(日)、友の会事務局にてアトピー性皮膚炎の実践講座と患者交流会が開催されました。

当日はあいにくの雨でしたが、年配の方から若い人まで幅広い世代の方々が集まり、有意義な会となりました。

第一部は「外用剤の特徴と使い方」をテーマに、東京逓信病院薬剤部薬品情報室の眞部遥香先生に講義をしていただきました。配布された資料とスクリーン投影による説明で、飲み薬に関する抗ヒスタミン薬の正しい使い方や薬の剤形、塗り薬に関するステロイド外用剤、軟膏とクリームの使い分け、保湿剤の効果やタクロリムス軟膏の特徴といったお話をポイントをつかんでわかりやすく進めていただき、薬剤に関する最新の研究成果を知ることができました。

昔から現在に至るまで何かと物議を醸しているステロイドについては、注射、錠剤、坐薬、外用剤(塗り薬)の順に皮膚への吸収が弱くなり、副作用のひとつと言われる副腎皮質機能低下は、外用剤では最強クラスのものをよほど多用しないとまず起こらないとのことです。ステロイドが怖い、と抵抗感を感じている方にはこういった正しい情報を伝え、安心して使用していただくことが必要だと思います。

また、ステロイドと混合する基剤について、軟膏はベタつき感があるが皮膚への刺激が少なく広く使用可能な点、クリームは乳化剤などが入っていて刺激が強いが皮膚への吸収が優れている点などそれぞれ長所と短所があることもご説明いただきました。肌の状態や季節などを考えて、自分に合ったものを使うことが大切だと感じました。

さらに、保湿剤では同じ処方箋でもジェネリック薬品になるとやや保湿力が落ちるものがあり、全く同じ効能とは言えないなど、私たち患者にとって日頃お世話(?)になっている薬に関し興味深いお話を聴くことができました。

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第二部は患者交流会です。

自己紹介に始まり、過去と現在のアトピーの症状、皮膚だけでなく白内障といった目の症状、民間療法を含む治療遍歴など、一人ひとりのお話からそれぞれ大変な思いをしてこの病気に向き合い続けていることがリアルに伝わってきました。それぞれの方に言い知れぬ苦悩を味わってきた受難の歴史があり、それを乗り越えて少しでも良くなろうと前向きに考えてここに参加している、ということが感じられました。

眞部先生にも引き続きご参加いただき、現在処方されている薬についての質問に答えていただくなど、普段疑問に思っていることが話題になり、話し合うことができました。

薬について主治医から具体的に説明をしてもらえないなどの不満を持っている方からの話もあり、受け身になったり疑問に思ったことをそのままにしておくのではなく、うまく説明してもらえるよう医者とどう関わるか、良い関係を築くにはどうすればよいかを考えていくことも重要であると思いました。

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特に印象に残ったのは、海外旅行の添乗員として活躍する夢を追って、少しでも症状が良くなる方法を模索されている女性のお話です。空気が乾燥する長期フライトの飛行機の中をどう乗り切るか、空気がそれほどクリーンではない発展途上国の都市部でのステイをいかに過ごすかなどいくつもの問題があり、それでもアトピーのためにやりたいことを諦めるのではなく、夢を実現するためにどうやって病と向き合えばよいかを考えるポジティブな姿勢には見習うところが大きいと感じました。

友の会が提唱しているように、アトピーがあるからやりたいことができないと後ろ向きになるのではなく、正しい治療法で症状をコントロールしながら、アトピーでもできることを考えて前向きに取り組んでいく気持ちが大切である、と改めて感じました。

交流会に参加された方だけでなく、アトピーの症状に悩むすべての人が、それに負けずに人生を楽しむことができるようになるよう願わずにはいられません。  

 

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