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わたしの診察レポート 「明るい皮膚科」のスッキリ解決診察  

わたしの診察レポート

「明るい皮膚科」のスッキリ解決診察

 荻野 美和子  

 

みなさんは普段どんな診察をしていますか。質の良い診察ですか。毎回スッキリした気持ちで診察室をあとにしていますか?

何時間も待って、心にくすぶっている疑問や悩みを解決されずに薬だけをもらっていることはありませんか。

他の人の診察を見たことありますでしょうか。今回は、わたしの診察をご紹介します。わたしは現在通院している皮膚科に関わるまでは、重度のアトピー性皮膚炎でした。先生と意思疎通ができるようになってから皮膚の調子がグンっとよくなりました。最後までお読みいただき、質の良い診察のヒントになればと思います。

私の主治医は当会常任顧問の江藤隆史先生です。先生自らが「明るい皮膚科」とかかげているほど毎回楽しく受診しています。どこがかゆいのか、どんな時にかゆくなるのか、また不安材料をメモしておき、診察時に質問をしています。聞き忘れなどはなくスッキリ解決!その晩からの皮膚の処置が楽しみになって毎回診察室を後にします。

わたしのように楽しく診察できるのも江藤先生のお人柄の部分も大きいと思いますが、ただ黙って皮膚を診てもらうだけでは先生も困ってしまいます。自ら話す材料をこしらえて診察に臨んでみてはいかがでしょうか。

治るか否かのターニングポイント。

1、標準治療を理解しているか

2、主治医とのコミュニケーション

これに尽きます。

わたしは、江藤先生に診てもらって10年。今では3か月に1回の通院で十分にコントロールできます。

1の標準治療とは、主にステロイド外用薬を用いての治療です。ステロイド外用薬は適切な使い方をしてこそ効果が見られます。もしご存じなければいつでも当会にご相談ください。ステロイド外用薬は、何も怖い薬ではありません。いつでも丁寧にスタッフがお教えします。

今回は2の先生とのコミュニケーションがどれほど重要なことか、わたしの診察の一部を見ていただき、みなさんの診察に生かしてくださればと思います。

●受診例●

2016年3月1日受診

症状:冬の乾燥が続き、体全体にかゆみを感じる。特におでこ、かかと、首背中の発疹が気になる。

【具体例1】

私:顔でおでこの部分だけ発疹がなかなか消えません。

先生:どれどれ?(炎症具合を視診&触診)

診察1.jpg これは、リドメックス塗ってから亜鉛華軟膏で覆って上からヘアバンドして寝てみてね。

私:顔でもしばらくリドメックスを塗り続けても大丈夫ですか。

先生:良くなってきたらプロトピックに変えれば、しばらくは使っても大丈夫ですよ!

 

吸収率が高い顔部分にステロイドを塗り続けるのは、少し抵抗がありました。炎症が治まってきたら段階的にプロトピックを使用。炎症部分にだけ吸収するプロトピックは顔への塗り薬として最適です。こうやって追加質問をすることで、薬の使い方をより理解することができます。段階を経て薬を弱め、最終的は保湿剤へシフトチェンジを目指します。顔にステロイドを塗っても何も心配することはないのだと教えてくれます。

 

【具体例2】

私:首から背中にかけてブツブツが絶えません。

先生:カサカサだね、アンテベートだ。

私:アンテベートはわたしにはあまり効きません。マイザーでもいいですか。

先生:マイザーでもいいよ。

診察2.jpg

 

 

皮膚科の先生は手で炎症度を診ているようです。いわゆる触診。手で触ってゴワゴワ感、乾燥具合を診るそうです。この写真はまさに、触診で炎症度を診ています。

 

 

また、みなさんはほしい薬を頼んだことはありますか。この会話のように試してみたい薬があれば、自ら薬の提案をすることもアリです。事前にその薬のランクを知る必要がありますが、もしほしい場合はこの会話のように提案をしてみてください。ステロイドのランクは、インターネットで調べることができます。マイザーは、上から2番目のランクのステロイド外用薬です。皮膚が比較的厚い背中には効き目が高いです。わたしの場合は、同じランクのアンテベートよりマイザーのほうが合います。

(江藤先生からのコメント:2番目のランクのステロイドの中でも微妙に強さが異なります、一般にマイザーは2番目のランクの中では強めに感じる方が多いようで、医師もややひどいときはマイザー、よくなったらアンテベートという使い分けをする場合が多いのが現状です。)

首元は、洋服が擦れる部分なので良くなったり悪くなったり今でもしますが、少しかさついたときには早めにマイザーを塗ることにしています。

 

【具体例3】

診察3.jpg

私:靴ズレからかゆみが広がって、どれを履いても擦れて痛いです。ドレニゾンテープも効きません。

 

先生:どれどれ?(炎症具合を視診&触診)

あ~これはかゆいねぇ。ではテープはやめて、デルモベート塗った上にサリチル酸ワセリンを塗って靴下履いて寝てね。

 

 

 

どこが辛いのか治りづらいのか具体的に伝えることで、その箇所によく効く薬を処方してもらうことができます。かかとはどうしても靴で刺激を受ける場所です。寝ているときに薬を効かせることにより、より早く治せます。わたしのかかとはこの会話のおかげで、今ではツルツルのです。

 

【具体例4】

この日は、軽度のアトピー症状を持つ娘のハノン(未就園児)も受診しました。診察4.jpg

私:泣き叫ぶほどかゆがる時があります。塗り薬だけで大丈夫ですか。

先生:抗アレルギー剤飲むのも効果あるよ。ザイザルを出しておくね。

私:ひどいとき、背中はマイザー塗っても大丈夫ですか。

先生:たまになら大丈夫。2~3日ですごくキレイなると思うよ。

 

 

泣きながら体を掻きむしる我が子の姿を見るのは、親として辛いものがあります。皮膚症状を診ただけではわからない、日常の出来事を伝えることはとても大事です。今回、この質問をしていなければ飲み薬を処方されることはありませんでした。もちろん直接皮膚の炎症を抑えるためのステロイドを塗ることはかかせませんが、飲み薬も併用することで、あのかゆみを消してあげられるのだと期待が膨らみました。今現在では、泣き叫んでボリボリ掻くこともなくなり、元気に毎日過ごしています。

ちなみにこの日、診察室入った娘は、これから何をされるのかと恐怖で大泣きでした。でも和やかな雰囲気で安心したのか、最後は先生に抱っこされてニコニコ笑顔。幼くても楽しそうにしている親の姿でこどもは安心できる場所なのかを察知するものですね。

 

会話を通して、自分でどの薬を使えばよくなるかということがだんだん知識として備わってくるものです。そうしていくと、『少しカサつきが強くなってきたから早めにこのランクの薬を使っておこう!』や、『良くなってきたからこの薬にしよう』など自分でコントロールし、自然にキレイな肌を保つことができるようになります。

 

●診察時の質問例●

どんな質問や悩みを相談したらいいのか、いきなり会話を心掛けてと言われても難しい方もいらっしゃるかと思います。例を挙げますのでご参考にしてください。

・手荒れが治らない。薬は替えたほうがいいか

・唇には何を塗ればいいか

・夏、汗で顔がかゆい。ボツボツが出るがどうしたらいいか

・冬、皮膚の乾燥はあるが、それほど症状は重くない。それでもステロイド外用薬は塗っておいたほうがいいのか

・耳が切れて痛い

・ひじやひざの関節部分のかゆみが治らない

・保湿にはどんな薬があるか

・オススメの日焼け止めクリームはあるか

・花粉症の季節。飲み薬がほしい

・陰部にかゆみがある。どの薬を塗っていいか

・顔の赤みが引かない

・薬の塗る量を教えてほしい

・薬を塗る期間はどれくらいなのか

・ステロイド外用薬のランクを教えてほしい

・ステロイド外用薬の副作用

 

上記は今までわたしが質問したことのあるほんの一部です。少しでも不安なことがあれば先生にぶつけてみてください。

アレルギー疾患は、毎日病院に行って診てもらう病気ではありません。多くて隔週や、数か月に一回の診察です。先生に診察までの間の症状を話し、次の診察までどう治療していくのかを決めていく必要があります。患者自身が薬の使い方をよく理解し、時には生活環境の改善などもアドバイスをもらい、主治医と患者の二人三脚で治していく病気です。といっても診察は人対人。先生と合わないと感じる方は、思いきってセカンドオピニオンで他の皮膚科を試してみてもいいかもしれません。アトピー性皮膚炎は全国どこでも標準治療は受けられます。もし何か肌トラブルがあったときにでも、すぐに通える距離ある皮膚科をオススメします。主治医とコミュニケーションを取れる、ご自身に合う皮膚科を見つけてぜひ満足のいく診察をしてください。

受診の質を変えるだけで、明るい未来は切り開けます。

 

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