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泣くだけの日々から、結婚・出産まで

「他人はそれほど君の顔を気にしてないよ。」
今から十数年前、私がアトピーでいちばんつらい時に、ある友人から言われた一言です。
いちばんひどかった時期は『アトピーが消えるか、このままか』の二者択一を毎日自問自答し、思い通りにならないことに苛立っていっそうひどくなる事を繰り返していました。

『気にしているのは自分だけ』

それに気付くと、外へ出るのがとても楽しいものになるはずです。

(東京都 Kさん / 女性 / 33才)

 

他人はそれほど君の顔を気にしてないよ

「他人はそれほど君の顔を気にしてないよ」。 今から十数年前、私がアトピーでいちばんつらい時に、ある友人から言われた一言です。

その頃の私は、必要以外の外出をほとんどせず、食べ過ぎたり食べなかったりの繰り返し。 母親が心配して声をかければかけるほど、自分の体に無性に腹が立って、頑固なまでに自分の殻に閉じこもっていました。 毎朝「今日はガーゼがくっついていませんように」と祈るような気持ちで頬に貼ったガーゼをはがす日々。 1日1度も鏡を見ない日もありました。

でもその暗い生活を変えるきっかけが、この友人の一言と、嫌々始まった社会人生活だったのです。

新しい生活で変わったこと

初めての電車通勤。 それも50分立ちっぱなし。 会社に行ったら、わからないことだらけ。 初めての配属先は4月がとても忙しく、早く仕事を覚えないと置いてきぼりになりそうで、聞いたことは聞き逃すまいと必死でした。

気付いたら、誰も私の顔のことなんて一言も言いませんし、いろいろ誘ってくれます。 毎日会社と家の往復で精一杯だったはずが、数カ月経って通勤にも慣れ、仕事も覚え、新しい友人ができ、いろいろな楽しみを覚えてくると、私のアトピーは落ち着いていたのです。 とくに顔。 毎日お化粧なんてとんでもないと思っていたのが、全然平気。 さすがにたくさんお酒を飲んだ翌日は顔に出ましたが、薬をつけて1〜2日おとなしくすればすぐ復活。 悪くなりそうなサイクルさえつかめればこっちのもの。 スケジュール帳が埋まっていないと心配になるくらい毎日楽しく過ごしていました。 無理のしすぎはいけませんが、少しくらいの無理は必要ですね。

結婚と出産

楽しかった会社も結婚して退職。 専業主婦になりました。

夫以外誰も知らない土地、駅までバスで40分以上かかるという、東京とは名ばかりのド田舎に来てしまいました。 通勤という肉体的疲労がなくなったので、顔も身体もアトピーはすっかり落ち着いていました。 それが少し悪くなったのが、長女出産の時でした。

初めての妊娠、出産。
つわりはあまりなく、アトピーも落ち着いていましたが、妊娠前期は毎晩ぜんそくで、眠れない日々が続きました。

その上、「自分の子どもはこんな体質にしたくない」と、甘味大好きの私が卵関係の食物断ちをしたので、いつもピリピリ苛立っていました。 出産後期もぜんそくで眠れず、妊娠によるむくみがひどくなり、卵抜きに加えて減塩食にもなったので毎日の食事が限られたものになってきました。 でも無事出産。 母乳も出て一安心。 と思ったら、産後1カ月くらいから、夜中のぜんそくも出始め、胸のまわりがアトピーによるかゆみと、赤ちゃんに吸われる刺激で切れて、ただれてきました。 それが半年続くと、寝不足と初めての育児によるストレスで、顔が赤くはれあがってしまったのです。

これではもうだめだと思って、ミルクに切り替え、長女をベビーカーに乗せ毎日散歩するようにしたら、ずいぶん落ち着きました。 散歩のおかげでたくさんの人と出会い、ド田舎生活がとても楽しくなってきました。 子どもの成長も日々楽しく、新しい友人に囲まれ、生活に活気が出てくると、身体も落ち着くもので、ぜんそくもアトピーもすっかり良くなりました。

長女が1歳になり、自分の体も落ち着いていたので、できるだけ早く第2子を欲しいと思っていた矢先に妊娠。 なぜかラーメンがとても食べたくて、毎日ラーメンばかり食べていました。 ラーメンは卵が入っているんだよなぁ、とは思いましたが、ぜんそくもアトピーも症状変わりなし。 むくみも全くなかったので、今回は食事制限を全くしませんでした。

それなのに、妊娠中も出産後もとっても健康。 お肌つやつや。 母乳もよく出て、長女もいたためミルクを作る手間が面倒で、母乳で通しました。 子どもが2人になり、授乳のため夜も眠れず大変なはずだったのに、この時のほうが体も心もずっと楽だったのです。

第2子は男の子ですが、ぜんそくもアトピーも今のところありません。
時折肌がカサカサしていたりすることはありますが、長引くことはありません。 その上、男の子なのに丈夫で、今まで熱を出したのも数えるほど。 それにひきかえ、長女は乳児期に卵アレルギーがあり、3歳前後にはぜんそくが出てくるし、あせもはすぐとびひになってしまい、「あんなに妊娠中頑張ったのに、私と同じだぁ」と落ち込むこともありました。 でも、近所の小児科医の適切な指導で、今まで発作らしい発作は1度きり。 すぐ化膿してしまう体質も、年齢とともに落ち着いてきました。

話を聞いてもらうということも、元気になる大切な第一歩

今思い返してみると、いちばんひどかった時期は、「アトピーが消えるか、このままか」の二者択一を毎日自問自答し、思い通りにならないことに苛立っていっそうひどくなる、の繰り返しでした。 会社に入って良くなったこと、そして今、小さな症状はたくさんありますが、それほど落ち込まず毎日普通に生活できるのは、あの友人が言った一言が常に私の中にあるからです。 もちろんきれいになりたい願望はあります。 でも、ちょっと頬が赤いからって他人は気にしていないんです。 気にしているのは自分だけ。 それに気付くと、外へ出るのがとても楽しいものになるはずです。

あと、もう1つ、子どもたちの成長記録をつけようと思って始めた私の10年日記が、子どもたちと私の体調の記録にもなっています。 前年、前々年のところを見ると、やっぱり同じ時期に悪くなっていたりするので、年々予防ができるようになってきました。 毎日3行程度だし、2、3年前のことって結構忘れていたりするので、この日記はおすすめです。 夫婦げんかも毎年同じ時期に同じような原因でけんかしているので、おかしいですね。 さすがにこればっかりは、予測して対処することはできませんけどね。

友の会に入会し、丸山さんに泣いて電話した日からもう10年以上たってしまいました。
いちばん苦しい時に話を聞いてくれたことが、どれほど私のささくれ立った心をいやしてくれたかわかりません。 話を聞いてもらうということも、元気になる大切な第一歩だと思います。 もし今悩んでいる方がいたら、同じ痛みをわかり合える人にとにかく話をしてください。 話した時は悲しいけれど、時間がたつと、きっと心が軽くなっているはずです。

(あおぞら408号 平成17年11月号より)

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