11月8日(日)に、ZOOMにて講演会を開催いたしました。
申し込みは前日までに100名の定員に達するほど盛況でした。北海道、大阪、愛知などの全国各地や、アメリカからもご応募いただきました。また、年代も20〜70代まで幅広く、オンラインの可能性を感じました。
<1部 〜講演会〜>
3名の講師による講演会を実施しました。治療の最新情報やすぐ実践できる内容まで、充実した講演会となりました。
◾️東京大学医学部皮膚科講師 菅 析先生
「アトピー性皮膚炎の最近の話題について」
・アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能異常、Th2免疫異常、痒みの3つを伴う炎症性皮膚疾患。
・治療の主体はステロイドによる外用療法である。部位による強さの選択やプロアクティブ療法が重要。
・デュピクセントはTh2炎症抑制のみならず、バリア機能改善、痒み抑制の3つの効果を有する。中等症から重症の患者の選択肢として果たす役割は大きい。
◾️同愛記念病院小児アレルギーセンターセンター長 増田 敬先生
「子どものアレルギーを正しく知ろう」
・経皮感作とは、皮膚に食物が付着しそれが原因となって食物アレルギーを発症するというもの。
・血液検査だけでは十分ではなく、食べて確かめることが大事。アレルゲンコンポーネントや経口負荷試験もアレルギーを調べる手段。
・経口免疫療法は、徐々に食べる量を増やしていく治療法。また、経皮免疫療法という皮膚からタンパク質を吸収させて慣らしていく治療法もある。
・子供の吸入ステロイド使用について、成長への影響はさほど大きくない。そのため、吸入ステロイドを使用して症状をコントロールしていくほうが良いと言える。
◾️国際医療福祉大学医学部呼吸器内科教授 黨 康夫先生
「気管支ぜんそく治療の進歩とそれを最大限に享受するための「患者学」」
・気管支喘息は、気道粘膜にアレルギー性炎症が起こったもの。苦しい状態を続けないためには、早期の治療開始、治療継続が重要。
・治療において、先生のアドバイスは実践すべき。外来では、先生に症状を具体的に伝えることも重要。一方、喘息は先生に任せていれば勝手に治るものではなく、自分でコントロールする病気。
・喘息は環境の影響を強く受ける。治療にあたり、原因物質を避ける工夫が必要。部屋の掃除や日頃のマスクの着用など意識することが効果的。
・喘息患者は新型コロナウイルスへの感染・重症化のリスクが健常者に比べて低いということが研究でわかった。
・バイオ製剤について、費用は高いが重症の方で頻繁に予定外受診や入院を繰り返している方の選択肢としては良い。
<2部 〜Q&A〜>
Q&Aでは常任顧問の坂本先生、江藤先生の進行のもと、事前質問から当日の質問まで講師の先生が的確な回答をしてくださいました。
以下、実際に回答した質問と回答内容を抜粋します。
Q. ステロイドを十分に使用しても改善しないことはあるのでしょうか?
A. 菅先生:ステロイドを使っていても、苔癬化などが残ってしまう方もいる。その場合にはネオーラルの内服やデュピルマブの注射といった治療を加えるという選択肢がある。
Q. 肺からゴロゴロという音がします。
A. 黨先生:気管支が細くなって出る音は「ピュー」などになる。一方、ゴロゴロというのは気道の中の痰が動いている音。この場合、痰を減らすことが必要。吸入ステロイドには痰を減らす機能があるのできちんと吸入すべき。また、寝返りを打つと意外にも痰の症状が改善されることがある。
講演会に参加できなかった方には、動画の配信を行っています。
希望の方は以下のフォーマットで当会アドレス(j-allergy@nifty.com)にメールをお送りください。
<フォーマット>
件名:11月8日講演会動画希望
内容:氏名、ご自身のメールアドレス