あおぞら 2012年6月 第487号(内容紹介) 一面概要
アレルギー専門病院めぐり46
リウマチ・アレルギー疾患における準ナショナルセンター指定病院
独立行政法人病院機構 相模原病院 アレルギー科(神奈川県相模原市)
独)相模原病院は小田急線の小田急相模原駅(通称オダサガ)から直線で、歩いて20分ほどの突き当たりにあります(バスあり)。
リウマチ・アレルギー疾患における準ナショナルセンターに指定されているこの病院は、古くから成人ぜんそくをはじめ、ほとんどのアレルギー疾患の治療に関して最先端の病院です。北海道や九州からもアレルギー検査や治療のために患者さんが来られています。
今回は同病院のアレルギー科で成人ぜんそくの治療・研究の先頭に立っておられ、当会顧問でもある谷口正実先生にお話を伺ってきました。谷口先生は私たちの質問にていねいに答えてくださいました。
★準ナショナルセンターに指定されている病院の特徴は
昭和51年に日本で初めて国立病院として臨床研究部が設けられ、平成12年には臨床研究センターに拡大され、リウマチ・アレルギーの臨床だけでなく最先端の研究も行っています。
難治性アレルギー疾患の機序研究や治療、希少アレルギーの診断、新規治療法の開発などを行っています。方法としてはプリックテストや皮内テスト、血液検査等があります。
★治療方針について
①ガイドラインや診断名だけにとらわれず、患者さんの訴えに重きを置き、病態に応じて対処しています。
②ぜんそくだけでなく身体全般を診るようにしています。重症ぜんそくや高齢の方の場合は、合併症を持つ患者さんが多くなり、ぜんそくの状態に少なからず影響します。合併病態も含めて対応することが安定化には大切と思います。肺以外の症状がひどくて、むしろ他科の先生に診てもらったほうが良いと思う時は、紹介しています。
また、検査値に異常がなくても、患者さんに症状がある場合は「異常がないから大丈夫」という対応は正しいとはいえません。検査は万能ではなく、なぜその症状があるのか、を判断し治療することが主治医の役目と考えます。追究していくことで、原因がわかってくることもあります。
限られた診察時間内で、患者はぜんそく症状しか伝えてはいけない、と思いがちです。このような考えで診察していただくと、患者は病院めぐりをしなくて良い上に「自分のことは全部わかっていただいている」と心強いですね。
★近年の患者さんの症状の変化は
吸入ステロイド薬の普及で多くの患者さんは良くなってきています。そんな中で増えているのが、喘鳴が聞こえないが苦しいと訴える患者さんです。
気管支の太いところは薬が効いて良くなりやすいのですが、末梢の細い気管支までは薬が届かず、息切れや発作が起きているのです。医師に誤解されやすいタイプです。しかし高性能の聴診器を使い、ていねいに音を聞くと末梢の空気の通りが悪いのがわかります。このような患者さんは、急患室では発作でないと誤判断されやすいですが、主治医がカルテに対処の仕方を赤ペンで書いておくと、どの医師も対応できます。緊急で病院に行った場合は、患者さんは医師にいつも使っている薬、点滴の内容を伝えるようにしてください。
最近、このような患者さんが増えていると感じていました。多くの医師に理解してほしいものです。この病院の医師はみなさん高性能の聴診器を使っておられるそうです。
★患者さんへのメッセージ
肥満や受動喫煙・喫煙などはぜんそくを悪化させます。生活習慣に気をつければ良くなると思います。
いくら吸入ステロイド薬という良く効く治療薬があっても、日常生活が乱れていてはだめなのだと肝に命じました。
独立行政法人 国立病院機構 相模原病院
〒228―8522
神奈川県相模原市桜台18―1
042―742―8311
(取材 坂本直美、菅野祥)