アレルギーを超えて。あなたらしい生き方を。 認定NPO法人 日本アレルギー友の会 アレルギーを超えて。あなたらしい生き方を。 認定NPO法人 日本アレルギー友の会

お問い合わせ
facebook        twitter
menu

アトピー性皮膚炎のナローバンド療法

 アトピー性皮膚炎の標準治療は外用剤が基本となりますが、今回は補助的な療法としての光線療法、特にナローバンドUVBについて、当会常任顧問の江藤隆史先生(東京逓信病院)に伺いました。

ナローバンドUVBとは

 アトピー性皮膚炎の光線療法として、以前はPUVA療法が主流でした。これはソラレン(psoraren)という光に対する感受性を高める薬を内服または外用した上で長い波長の紫外線(UVA)を浴びるものです。この療法には、ソラレンによって光に敏感になるために治療後に日光を避けなければならないことや、副作用として皮膚の光老化が起こるなどの欠点がありました。これに対し、2000年代に入って登場したナローバンドUVB療法は、非常に狭い範囲の波長(311±2nm)を利用することによって紫外線の害を最小限に抑え、またソラレンも必要としません。そのため、扱いやすく、また実際の有効性も多く報告されていることから、現在では広く普及し、個人医でも照射装置を備えた医院が増えています。

nuvb_1.jpg nuvb_2.jpg
照射装置の前で江藤先生と 全身に照射する装置
 

 

なぜアトピー性皮膚炎に有効なのか

 アトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚を掻くことが刺激となって、かゆみを伝える神経線維が皮膚の表層まで伸びており、その結果刺激に対してますます敏感になるという悪循環になっています。紫外線療法は、この伸びた神経を縮め、減らす作用があるので、アトピー性皮膚炎の特にかゆみを改善するのに有効というわけです。他にも皮膚の免疫反応を抑制する効果があると言われ、特に重症の方や硬く盛り上がった湿疹(痒疹(ようしん))によく効きますが、アトピー性皮膚炎の患者さんであればほぼ全員に効果があると言っても差し支えありません。

実際の照射方法は?

 照射装置には、箱型の装置に入って全身に光線を浴びるタイプと、ベッドに寝て胸・腹・腰・四肢や手など体の一部分に照射するタイプとがあります。さらに近年になって、片手で持てる大きさの機械で局所的に照射することができるターゲット型エキシマライトが登場しています。

 光線を照射する時間は、あてる光線の量や機械の性能によって異なりますが、数十秒から5分程度です。治療の頻度・期間としては、週一回のペースで十週間続けると、かなりの人に効果が見られます。基本的には長期にわたって続けるものではなく、20~30回で一旦は終わりにするのが標準的ですが、いい状態を維持する(寛解維持)目的で月1-2回継続する場合もあります。

 光線量は、最初は低い量から始め、治療後の状態をみながら調整していきます。赤くなってヒリヒリしてしまう場合は光線量を下げますが、一般には徐々に光線量を上げていき、症状が安定したところで一定にします。ちょうどよい光線量は患者さんそれぞれで、ごく低い光線量でよい状態を保てる人もいます。費用は3割負担で1000円程度です。これは、光線の強さや照射する面積には関係しません。

nuvb_3.jpg nuvb_4.jpg
ベッドに寝て照射する装置 エキシマライト

注意点と副作用

 基本的に顔と眼には照射しません。照射時には紫外線を遮断するサングラスを着用していただきます。長期使用で生じ得る副作用として最も重大なのは発がん性ですが、明らかな発症事例を示す臨床データは今のところ報告されていません。目安として、400回までは安全だと言われています。短期的な副作用としては、紫外線なので日焼けと同じように皮膚の赤みが出たり、色素沈着が起こることがあります。

 位置付けとしては、ステロイド剤等による外用治療を補助するものですが、それらで十分に改善されない方や、皮膚が薄くなるなどの副作用が起きている方は検討されてもよいでしょう。     

(あおぞら553号より)

 

 

サイト内検索

お問い合わせこちらから

SNS