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5月21日開催 講演会・Q&Aレポート

講演会「診療ガイドラインを知って良くなろう」

すっきりと晴れ上がり、初夏の訪れを感じさせる陽気となった5月21日、東京・神田のフォーラムミカサエコにおいて講演会が開催されました。会場後方には、スキンケア用品のサンプル配布などを行う協賛企業各社のブースや、アレルギー治療に役立つ情報誌のコーナーなどが設置され、来場された方々が興味深く手に取る姿が見られました。

新しく友の会の理事長に就任した武川理事長の挨拶と当会の紹介に続き、第一部の講演が始まりました。

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講演1「アトピー性皮膚炎の治療―診療ガイドラインを中心に」

京都大学府立医科大学大学院 医学研究科皮膚科学教授 加藤 則人先生

 加藤先生は、2016年に発表されたアトピー性皮膚炎診療ガイドラインの作成委員会の委員長を務められた方です。

ガイドラインの定義、その成り立ちに始まり、特徴として臨床現場から出てきた課題の中から22件の疑問をCQ(クリニカルクエスチョン)として掲載したこと、その回答の推奨度やエビデンスレベルを数値で示したことの説明がありました。続いて、アトピー性皮膚炎の定義や皮膚のバリア機能についてのお話、治療の目標と予後、悪化因子などのお話がスライドによる図説とともに展開され、一見すると難解と思われがちな診療ガイドラインの内容をわかりやすく解説していただきました。

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また、前述のCQの中からいくつかを取り上げての説明もあり、ステロイド外用薬の使い方、プロアクティブ療法の有用性、保湿によるスキンケアなど、私たち患者にとっては基本であると同時に欠かせない重要な内容が紹介されました。

 

 

 

 

講演2「『喘息』と言われてしまった!」

 湘南藤沢徳洲会病院 副院長 近藤 哲理先生

続いて近藤先生のぜんそくに関する講演が行われました。

診察の実例から、呼吸器疾患の患者にはさまざまな症状があり、それがはっきり「ぜんそく」であると診断するのは難しいことや、ぜんそくの病態と吸入ステロイド等の治療薬に関すること、COPD(慢性閉塞性肺疾患)とぜんそくの違いなどをスライド投影とともに解説していただきました。CIMG0021.JPG

また、症状が治まると通院が面倒になる患者側の心理にもふれ、薬をやめたり減らしたりする目安は3ヶ月以上症状が安定していること、ステロイドの吸入はただ吸うだけでなく早く強く吸うことを意識しないと薬が入っていかないこと、吸入器によっても吸い方が違うことなどの説明がありました。吸入治療薬は有用でありながら、正しく使わないと効用が現れないこと、その意味では患者側も常に学習し、適正な使用法を心がけることが大切であることがわかりました。

 

講演3「的確な治療を受けるための準備」

 ぜんそく部門 ふれあい横浜ホスピタル 院長 坂本 芳雄先生

 アトピー性皮膚炎部門 東京逓信病院 副院長兼皮膚科部長 江藤 隆史先生

 当会常任顧問の二人の先生より、それぞれ受診の際の事前準備として必要なことをお話いただきました。

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 坂本先生からは、短い時間で医師に的確な情報を伝えることが重要であり、症状のコントロールができていたかどうか、重症度がどの程度であったか、日常生活で気になることや悪くなったときの原因で思いつくことなどを簡潔に伝えることがポイントであることを説明していただきました。

 

 

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江藤先生からは、受診の際には患部を見せるために脱ぎやすい服装で行くこと、顔の化粧は落としていくこと、質問はメモで持参することが大事であるなどのお話がありました。

講演全体を通じて、診療の基本、受診の際の基本を改めて学び直す良い機会となったと思います。

 

 

 

先生方の講演内容は、当会機関紙「あおぞら」に順次掲載していく予定ですので、まだご入会いただいていない方はこの機会にどうぞ。

入会案内はこちら

サンプル動画はこちら

 

アトピー性皮膚炎Q&Aレポート

休憩をはさんで後半は「講師を囲んでQ&A」の時間です。事前に参加者の方から受け付けた質問に、今回講師の加藤先生と常任顧問の江藤先生が回答してくださいます。最先端で治療にあたっている医師に自由に質問できる機会はなかなかないでしょう。私自身も初めて当会の講演会に参加した時には、このQ&Aが目当てだったことを覚えています。実際に症状を見てもらう診察ではないため、質問によっては十分な回答が難しいものもありますが、日頃医師に聞きにくいと思っていることを尋ねたり、現在受けている治療についてのセカンドオピニオンを得るには有用なチャンスです。CIMG0863.JPG

 また、当会の丸山副理事長も折に触れて発言しましたが、患者側からの実感のこもったアドバイスとして役に立ったのではないでしょうか。

 今回は質問数が少な目だったため、その場での質問も受け付けました。数人の方が質問され、中には切実な悩みもありました。今回の機会をきっかけに解決につながっていくことを願っています。

 また、先生がお二人でお答えくださるので、そのやり取りもライブ感があって面白く、しばしば笑いを誘っていました。周りに同じ病気を持つ人がいないと、病気を話題にして笑う機会はあまりありません。そのような面でも、参加された方の気持ちが少しでも明るくなれば嬉しく思います。CIMG0882.JPG

 今回寄せられた質問の内容としては、新薬に関する質問がありました。来年以降いくつか新しい薬の登場が見込まれていますが、アトピーの治療薬としては久しぶりの新薬であること、また報じられるところでは高い効果を持つということで、関心を持つ人が多いようです。新薬に関しては、会場にいた製薬会社の方も情報を寄せて下さいました。

 他には、治験や光線治療に関する質問、アトピーを持つ思春期の子どもにどのようにかかわっていけばよいか、ステロイド剤への不安、皮膚科を受診しているにも関わらず症状が改善しない、などの質問がありました。アトピーと一口に言っても、患者の悩みは多岐にわたることが伺えます。

 この日の質疑応答は今後順次「あおぞら」に掲載していく予定ですので、楽しみにお待ち下さい。

 

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