当会の療養相談では全国から様々な相談が寄せられ、薬のこと、日常生活で気を付けること、
そして同じ患者として、病気をどうとらえ、どう付き合っていくかというようなこともお話します。
その中からよくある質問をとりあげました。
吸入ステロイド薬は、どのような物がありますか。
吸入ステロイド薬には、ドライパウダータイプとエアゾールタイプの2種類があります。
- ドライパウダータイプ
- フルタイド、パルミコート、アズマネックス
- ドライパウダータイプ ステロイドとβ2気管支拡張剤の合剤
- アドエア、シムビコート
- エアゾールタイプ
- フルタイドエアー、キュバール、オルベスコ
- エアゾールタイプ ステロイドとβ2気管支拡張剤の合剤
- アドエア
「喘息は気道の慢性的な炎症」と定義されていて、この炎症を改善するにはステロイド薬が有効とされています。ステロイド薬の中でも、経口ステロイド剤や点滴の中に入れて使うステロイド薬も発作時は早く発作を抑えるために必要な薬ですが、長期使用やたびたび発作を起こして点滴をしていると、副腎が働かなくなり副作用の心配が出てきます。
吸入ステロイド薬は吸入するタイプなので、直接気道の局所に達し、炎症やアレルギーを抑える働きをします。少量で高い効果があり、うがいを丁寧にやれば(食前吸入なら、なおよい)副作用も少ない薬です。発作を起こさないように予防的に使うもので、毎日使い続けることで症状が改善する薬です。長期間使い続けることで、発作が出にくい気管支になります。
初めに記したように、吸入ステロイド薬はたくさんの種類があります。使用感は人によって違います。長期に亘って使うものなので、いろいろ試してみて、もっとも良く効果が出て声枯れなどの副作用のないものを、主治医と相談しながら決めましょう。少しよくなっても、すぐ止めたりしないで使い続けてください。減量については主治医に相談してください。
吸入ステロイド薬を使っていますが、あまり効果が感じられないのですが。
吸入ステロイド薬は、正しく吸入することで効果を発揮します。薬のタイプによって、吸い方が少し異なります。
吸入ステロイド薬は正しく吸入しているか、していないかで、効果に大きな差が出ます。吸入ステロイド薬はドライパウダーとエアゾールタイプがあり、吸入の仕方が少しだけ違うのでポイントをしっかり知っておきましょう。
吸入ステロイド薬が発売されてから、ぜんそくで亡くなる人が半数以下になっています。入院する患者さんも減少しています。主治医の指示に従って一定量を吸入していれば、副作用の心配もほとんどありません。正しく吸入することで効果が発揮されますので、正しい吸入の仕方を覚えて、実行してみてください。
ドライパウダータイプの正しい吸入方法
- 薬剤を吸入する前に息を吐き出す
- 息を吐いたら吸入口をくわえる
- 薬を深く「スーッ」と力強く吸い込む
- 吸入口から口をはずし、息を5~10秒止める
- ゆっくり息を吐き出す(鼻炎のある人は鼻から吐き出すと鼻炎にも効果がある)
- 丁寧にうがいをする
エアゾールタイプの正しい吸入方法
- 使用前に缶をよく振る
- 息を吐いたら吸入口をくわえる
- 息を吸い込み始めるのと同時に、缶の底を1回しっかり押し、静かにゆっくりと十分に吸い込む
- 吸入口から口をはずし、息を5~10秒止める
- ゆっくり息を吐き出す
- 丁寧にうがいをする
*吸入を補助するスペーサーという器具を使うと吸入しやすくなります。
夜寝ている時に発作が起こることが多く、不安で眠れません。何か原因があるのでしょうか?
夜中に発作が起こるのは治療不足が考えられます。情況を医師に伝えて、判断してもらってください。
喘息の発作は、夜間から明け方に起こることが多いものですが、治療を受けているのに、夜間から明け方にかけて発作が起きる場合は、治療が足りないと思われます。医師に相談して、吸入ステロイド薬をきちんと使った上で発作が起きているのであれば、吸入ステロイド薬を増量してみる。さらに長期管理薬の気 管支拡張剤を使うなどしてみるとよいようです。例えば、長期管理薬のテオフィリン徐放性薬は、ゆるやかに効果が出て、朝・夕のんでおくと24時間効果があります。抗アレルギー薬をのんでいないようでしたら、抗アレルギー薬の中でもロイコトリエン拮抗薬は、よく効くといわれているので、これを追加するのもよ いそうです。
風邪などの感染が見られれば、のめる人はPL顆粒などをのんで、痰に色がついていれば抗生物質をのまなければならないと思います。こうしたことは、医師の診断によって行われます。先ずは、医師に自分の症状をきちんと伝え、指導を受けることが大切です。主治医から指示された薬の量を勝手に減らしたり、やめたりするのは禁物です。薬をきちんと使っているのに、夜、発作が出るのかどうか、医師はそれによって判断されるので、患者が勝手なのみかたをすると、医師の判断に迷いが生じてしまうかもしれません。もしも、処方されていた薬で胃が悪くなるとか、発疹が出るとか、合わなくてやめていたというのであれば、そのことも伝えておかないと、また同じ薬が処方されることがあります。
Oさんの場合、きちんと治療を受けているにもかかわらず発作が出ました。その原因は胃食道逆流症(食道内への胃酸などの逆流)でした。「喘息の患者さんにはこの病気の方が多く、薬を使うことで胃食道逆流症の症状が改善するだけでなく、喘息もよくなる人が結構いますよ」と言って薬を処方してくださったそうです。思い当たる症状があったら、ぜひ主治医に聞いてみてください。
薬で喘息を起こすことがあると聞きました。どのようなものですか?
アスピリンゼンソクと言って、成人喘息患者の約10%に見られるそうです。重い発作で死亡することもあります。
アスピリン(アセチルサリチル酸)などの、非ステロイド性消炎鎮痛薬を使うと、喘息を起こす人がいます。これをアスピリン喘息と言いますが、成人喘息患者の約10%に見られます。
非ステロイド性消炎鎮痛薬に異常な反応を起こす人が、この薬の入ったものを使用すると、多くの場合、1時間以内に鼻水、鼻づまり、咳、息苦しさなどといった症状が起こり、重い喘息発作になると、気管支の収縮によって呼吸困難に陥り、死亡することもあります。
アスピリン喘息は、成人になってから喘息を発症した女性に多く、中でも、重症の喘息を経験した女性に多いと聞きました。当会にも、アスピリン喘息発 作で死線を越えかけた人が何人かいます。特に、鼻茸(蓄膿症、鼻ポリープ)のある人や副鼻腔炎(副鼻腔が炎症を起こした状態)、慢性鼻炎のある人は、気を つけたほうがいいと言われています。ただ、こうした鼻炎の症状とアスピリン喘息との因果関係はわかっていません。非ステロイド性消炎鎮痛薬は、内服薬、坐 薬、注射、貼り薬、塗り薬など、たくさんの薬に含まれています。市販の解熱鎮痛薬や風邪薬にも含まれているので、アスピリン喘息と言われた患者さんは、市 販薬は使わない方が安全です。整形外科などで出される湿布薬や塗り薬のインドメタシンも使えません。CT検査をする時に使われる造影剤も危険だと言われて います。手術の時の麻酔薬にも注意が必要です。
では、必要なときに使える薬はないのかと言うと、アスピリン喘息でも服用できる薬はあります。使用する薬については主治医とよく相談し、1~2日の 検査入院をして、どの薬が使えるのかを調べてもらうことも必要です。手術の時の麻酔薬にもいろいろな種類がありますから、手術が必要になった時には、きち んと「アスピリン喘息がある」と伝えてください。主治医に「ぜんそくカード」を作ってもらうこともお勧めします。「ぜんそくカード」には、アスピリン患者 であること、使っている薬、緊急時の対応などが書かれています。このカードを携帯しておき、他の科にかかる時には提示すると安全です。
自分の症状を言葉で伝えるのが大変です。どうしたらお医者さんに症状をうまく説明できますか?
医療機関などでもらうことのできる喘息用の日記を利用すると、短時間で的確に伝えられます。
自分の症状をきちんと医師に伝えることができないと、医師は病状をよく把握できません。また、伝える要領が悪いと時間もかかってしまいます。
受診する時に、主治医に喘息用の日記をもらってください。(本サイトからのリンクでダウンロードいただけます。また当会にもありますので連絡をいただければお送りします。)喘息日記は、喘息の様子、のんだ薬、吸入薬は何を何回使用したか、咳は出たか、痰は多いか、日常生活は普通にできたか、夜眠れたかなど、いろいろな状態を毎日記入するものです。むずかしいものではなく、誰でも簡単に記入できるようになっています。
記入事項の中に、ピークフロー値という欄があります。ピークフロー値というのは、息を吸って一気に吐き出す時の息の速度のことで、これによって気管支のせばまり具合をみるものです。測定する時には、ピークフローメーターという器具を使います。朝起きてすぐと、夜寝る前にピークフロー値を測って記入し ていくと、自分のぜんそくの状態が客観的にわかるようになります。
少し呼吸が重苦しいなと思っても、ピークフロー値が正常範囲であれば、水分をとって様子をみることもできますし、数値が悪ければ、気管支を拡げる、即効性のあるβ2刺激薬の入ったハンドネブライザーを吸入したり、薬を足したりするなどの対応ができるわけです。受診の時に、この喘息日記を主治医に見て もらうと、あなたの症状を理解してもらえます。主治医に聞きたいこと、必要なものなどがある時は、受診時にメモして持っていき、それを伝えればいいと思います。主治医に聞いた大切なことをメモしておくのもよいでしょう。
ピークフローメーターは、喘息の薬をもらっている調剤薬局で販売していますが、置いてなかったら、主治医に聞くか当会へ問い合わせてください。
風邪をひきやすく、ひくと喘息の発作がひどいのですが、どんなことに気をつけたらいいですか?
風邪をひいたら、早めに薬をのんで悪化させないようにしましょう。のんでもよい薬については、事前に医師に相談しておいてください。
どんなに気をつけていても、抵抗力が落ちると風邪をひいてしまいますね。喘息患者にとって、風邪は怖いものです。しかし、治療が進歩したため、以前 より体力がつき、風邪をひきにくくなったという人が多くなっているようです。でも、油断は禁物。疲労がたまると、風邪をひきやすくなります。
風邪をひかないために、次のことに注意してください。
- 外から帰ったら、必ず、うがい・手洗いを丁寧にしてください。
- 冬は、家の中の湿度を50~60%に維持します。乾燥すると風邪をひきやすくなるので、加湿器を使ったり、寝室に洗濯物や濡れタオルを干したりして工夫するとよいでしょう。梅雨時は、除湿器などを使って除湿します。
- 過労、睡眠不足にならないように気をつけ、規則正しい生活を心がけてください。
風邪をひいてしまったら
- 寒気・くしゃみ・鼻水など風邪症状が出たら、漢方薬の葛根湯を熱湯で溶いてのみ、温かくして休みましょう。医師に相談の上、PL顆粒(総合感冒薬)がのめる人は、早めにのんでください。
- ピークフロー値が下がっているようであれば、早めに経口ステロイド剤をのみ、痰が黄色くなっていたら合成抗菌剤をのむと、悪化させずにすむことが あります。事前に主治医と相談しておくことが大切です。薬は予備にもらっておくようにしましょう。薬を数日間のんでも、ひどくなるような時は必ず受診してください。
- アスピリン喘息の人は、自分ののめる風邪薬や解熱鎮痛剤を主治医に決めてもらい、それ以外のものはのまないようにしてください。
インフルエンザの予防接種について
喘息をはじめ、呼吸器疾患を持っている人がインフルエンザにかかると、健康な人がかかるよりもはるかに重い症状になります。肺炎になることもあります。主治医と相談の上、予防接種ができる人は早めに受けておきましょう。かかってしまった時に軽くすみます。
ステロイド薬には、使用に抵抗感があり、副作用も心配なので使いたくないのですが。
吸入ステロイド薬の副作用は、ていねいにうがいをしていれば大丈夫。経口ステロイド薬は、命に関わる重症な時などに短期間使われます。
ステロイドを恐いと思うのは、気管支にしか作用しない吸入ステロイドとのみ薬や点滴など全身に作用するステロイドを同じものとして考えてしまうからではないでしょうか。確かに内服や点滴のステロイドは全身に作用するので、骨がもろくなるなどの副作用があり、医師が限定して使うものです。例えば、喘息が重症のときは、入院し、点滴などで使用することがあります。吸入ステロイド薬は炎症が起きている気管支に局所的に作用し、その後、肝臓で分解され排出されるため全身への影響はほとんどないそうです。
なんだか怖い、という漠然とした理由でステロイド薬を使わず、ぜんそくの発作を度々起こしていると、睡眠障害などの問題が発生することもあります。吸入ステロイドは、気道の炎症を抑え、喘息を改善する最も大切な薬です。ただ副作用として、口の中にステロイド薬が付着したままになっているとカンジタな どのカビが発生し、声枯れなどが発生することがあります。その副作用も、吸入ステロイドを使った後は、うがいをていねいして洗い流しておけば心配はいりま せん。のどの奥の方までガラガラとうがいをし、ぬるま湯や水を飲み、口の中に付着したステロイド薬をしっかり洗い流しましょう。
また、全身に作用する内服や点滴のステロイドは、喘息が悪化して一命が危ぶまれる時、入院して使う場合や、特に症状が悪い時に自宅で内服して使う場 合があります。そのような時、副作用を心配して使わないでいるより、使うことによって命が救われることの方が多いのです。専門医の指示に従い、正しく使え ば心配はないと思います。
吸入がうまくできません。何かよい方法はないでしょうか?
最初はうまく吸えなくても、親御さんが、一緒に楽しい雰囲気をつくり、吸えたらたくさんほめてあげましょう。
最初はうまく吸えなくても、親御さんが、一緒に楽しい雰囲気をつくり、吸えたらたくさんほめてあげましょう。吸入は、幼児ほど嫌がり、苦労する親御 さんが多いようですが、みなさんいろいろ工夫されています。2歳の喘息児を持つ母親は、子どもが眠った時に、携帯用のハンドネブライザーをシューッと吸入をするそうです。別の母親も、抗アレルギー薬のインタールやメプチン液を入れた器械式ネブライザーを使い、寝付いた時に吸入をさせると言っていました。まずは 親御さんが、主治医や医療スタッフから吸入の指導をしっかり受け、子どもにしてみてください。吸入薬を吸い込みやすくするために、ネブライザーの先に付け るマスク状の補助器具があります。乳幼児の場合は液が漏れないように専用のマスクをきちんと口に当て吸入薬を深く吸い込ませるようにするといいでしょう。
いやがる時には、大人が楽しそうに吸入する姿を見せたり、吸ったらたくさんほめてあげたりするなど、根気良く努力してみてください。小学生になるとマウスピースタイプも使えるようになります。これは吸入しやすくするために、ネブライザーの先に付ける器具です。噴霧された吸入液が、多少外に漏れても、吸入はできるので心配いりません。
現在、使われている吸入ステロイドのパルミコート吸入液は、生後6ヶ月以上の乳幼児に使用できる薬として、わが国でも2006年9月に発売されました。器械式のネブライザーで吸入するので、吸い込む力の弱い子どもでも自然に気管支の中に入っていき、医師にも患者にも朗報をもたらしています。ネブライザーは購入する必要がありますが、貸し出しをする病院もあるようです。
ちなみに、社団法人日本アレルギー学会で発行の「2008年度版・小児気管支喘息治療、管理ガイドライン」では、エアゾールタイプ、吸入用の補助器具に多用な薬剤に使用できるようなタイプのものを勧めています。(例えば、エアロチャンバー・プラスなど)
夜中になると発作を起こすことが多く、親子とも睡眠不足で、疲れきっています。原因はなんでしょうか?
症状が安定していない時期は、発作を起こしやすくなります。就寝前に、朝まで効果が持続する気管支拡張薬を飲むのもいいでしょう。
医師によると、気管支は夜間から朝方にかけ狭くなりやすいのだそうです。ですから、気管支に炎症を起こしている喘息患者、しかも、症状が安定していない人であれば、夜間や朝方にかけて発作が起きる可能性は高くなります。
九州に住むC君は1歳から11歳までほとんど毎夜、発作を起こし、母親は、子どもをおんぶしたり、自転車に乗せたりして、たびたび救急外来に行ったとのこと、親も子どもも長い間、枕を高くして眠ることはできず、つらい日々を過ごしたそうです。当会はC君のお母さんから相談の電話を受け、気道の炎症を とるための吸入ステロイド薬や吸入液のメプチン、ベネトリンなどによる治療法があることを説明し、医師に相談して、そうした薬を処方してもらうよう助言しました。
お母さんはさっそく薬について医師に相談し、処方してもらったそうです。薬をもらって一週間が過ぎた頃、「夜もぐっすり眠れ、発作が起きなくなりました」と当会に報告がありました。C君のお母さんは、吸入ステロイド薬があることを以前から知っていたそうですが、ステロイドと聞くと副作用のことが頭に 浮かび、使って良い薬だとは理解していなかったそうです。
夜間に発作が起きるのは、症状が安定していない状態ですから、治療が足りないと思われます。就寝前に薬を飲めば朝方まで持続効果のある気管支拡張剤(長期管理薬)もあります。夜間の発作を起こさないよう、医師に相談し、治療を続けてください。
また、症状が不安定な時は、ぜんそくの発作が急に起こることもあります。前もって緊急時の薬をもらっておき、対処できるようにしておくと良いでしょ う。気管支拡張薬で携帯用のハンドネブライザーで吸入できるサルタノールインヘラー、メプチンエアーなどがあると応急処置に助かります。いずれにしましても、基本的には吸入ステロイド薬などを使っていることが大切です。メプチンやベネトリンの液は器械式の吸入用ネブライザーを用いて吸入します。吸入用ネブ ライザーにはコンプレッサー式、超音波式、ジェット式などといろいろあるので、どういうネブライザーがよいか、医師に相談し、薬も常備しておくと安心だと 思います。
ぜんそくが起こる原因は何ですか。
子どものぜんそくはアレルギーによって起こることが多く、特にダニが多いようです。
アレルギー反応を起こす原因物質を、アレルゲンと言いますが、何がアレルゲンになるかは人によってさまざまです。なかには、アレルゲンがはっきり特 定できない場合もあるそうです。一般的にハウスダスト、ダニ、カビ、花粉、食べ物、動物の毛などにアレルギー反応を示している子どもが多く、とくにハウスダスト、つまり家の中のホコリが代表的なアレルゲンとなっています。ホコリの中には、無数のダニの死骸やフンが混じっていて、これがアレルゲンになるので す。
血液検査をしてIgE抗体の量を調べることでお子さんのアレルゲンを調べることができます。しかし、アレルギー反応だけでは説明のできない点も多く、様々な要素が「からみあって」起こると考えたほうが良いそうです。
小学生低学年の喘息児を持つあるお母さんは、子どもが2歳頃から喘息の症状が出て、いろいろな医療機関で検査をしてもらったのですが、アレルゲンが特定できなかったそうです。お母さんはダニが原因ではないかと思い、家の床をフローリングにし、カーテンも取替え、布団には防ダニのカバーをかけ、室内の清掃も心がけたそうです。正しい治療をうけ、室内の環境整備も行なった結果、そのお子さんは、今では元気に学校に通っています。ただ、母親が室内の清掃に一生懸命になりすぎ、ストレスで病気になったという、例もあります。焦らず徐々に室内環境をよくしていきましょう。
学校で走った後とか校庭で友達と追いかけっこをしたりすると発作が起こります。どうしたらよいでしょう。
運動をすると発作を起こす「運動誘発喘息」というのがあります。運動の直前に携帯用の気管支拡張薬の吸入をすれば予防になります。
運動誘発喘息は、激しい運動した直後に発作になります。運動によって呼吸数が増加したために、気管支の粘膜から水分や熱が奪われて、刺激を受けやすくなるためと言われています。マラソンとか、サッカーなどの激しいスポーツのほか、子ども同士が追いかけっこしても苦しくなり、発作につながります。
静かにしていると呼吸が自然に戻ることもありますが、心配な場合は、運動前に予防的にインタールのエアロゾル(携帯用の吸入薬)を使うと良いと思います。インタールは抗アレルギー効果と抗炎症効果があり、副作用の少ない良い予防薬のようです。
また、携帯できるハンドネブライザーのサルタノールインヘラーやメプチンエアー(気管支拡張剤)などを運動前に使っておくと予防できることが多 いようです。一日に合計2~3回までとして、運動前に1回使っておけば予防になるのではないでしょうか。ポケットにも入るので携帯しやすく便利です。ただし、何回も使っているのに楽にならない場合は、ほかの治療する必要があります。
こうした薬を使う場合は、医師にも相談し、親御さんと学校の先生とが細かく連携をとって進めていただきたいと思います。まずは、気管支の炎症をきちんと抑えるために、日ごろから吸入ステロイドなどをきちんと使うことが大切です。専門医によると、子どもの喘息の治療は、スポーツを含めた日常生 活が普通におくれること、夜の睡眠が十分にとれること、学校を休まないこと、肺機能が正常なことなどを目標にしながら行なっているそうです。親御さんは、こうした目標を達成するためにも、お子さんの症状をきちんと把握し、医師に伝え、治療を受けることが大切です。
※2008年に4月に文部科学省監修の「学校生活指導表(アレルギー用)」財団法人日本学校保健会より発行されました。喘息などのアレルギー疾患のあるお子さんに、学校からの配慮や管理が必要な場合は、学校に、その旨を申し出てください。